

開幕前からチーム名が変更するかもしれない、、、という噂が上がるなどチームの存続が不透明な情況のフォースインディアですが、チーム名が変わるということは、つまり、オーナーが変わるということです。。。身売りになるわけですが、オーナーのビジェイ・マリヤがインドから国外退去になり、以来、もうかれこれ5年以上に渡って、英国内に居住している訳ですが、本業が相次いで経営難に陥るなどから、F1活動に資金を思うように投入出来ない状況が続いています。こういった中でチームは限られたリソース、人員スタッフを有効に活用して、2年連続でコンストラクターズ4位の好成績を収めました。 本来ならばこれだけの好成績を収めたならば、そこそこ大きなスポンサー獲得にもなるのでしょうが、昨今のF1ではスポンサーを獲得することは10年前と比較して非常に難しくなってきています。それはフォースインディアに限ったことではなく、フェラーリも含めて全チームに共通する問題であります。今シーズンのフェラーリのマシンには昨年までのビッグスポンサーであったサンタンデール銀行の後釜になったスポンサーはなく、マシンのリヤウィングにはスポンサーロゴはありません。レーシングスーツも凄くシンプルになっていて、スポンサーロゴが数えるほどしかありません。
比較的にフォースインディアのマシンにはスポンサーロゴがたくさん貼られていますが、バーゲンセールをしているものと思われます。安価でスポンサーロゴのシールを貼っている、ということです。 もしあれが通常価格ならばチームの台所事情は潤っていて、こういった身売りのような話は出てこないはずであります。 数年前からフォースインディアに関しては、スポンサー獲得の際に、インディアという地域色が強いネーミングであるがゆえにスポンサー獲得の支障になっているという記事がいろいろなところで散見されました。 オーナーのビジェイマリヤはインド国内では刑事訴追を受けている身であり、インドへの帰国が出来ない状況であります。 もしインドに帰国した際は、すぐにその場で逮捕されて身柄が拘留されます。 オーナーがこういう社会的状況下にあるということもスポンサー獲得の支障につながっているものと思われます。 もしフォースインディアが資産仮押さえなどの処分を受けた場合ですが、参戦不可能な状況になります。 ホワイトナイト的なスポンサーが現れるとチームはまずは生きながらえることが出来るのですが、参戦不可能になった場合、グリッドには18台のマシンしか並ばないという非常事態になってしまします。 2020年まで有効なコンコルド協定では最低で20台以上のマシンをグリッドに並べるという条項があるらしいのですが、この18台になってしまった場合にあと残りの2台をどうするつもりなのでしょうか? フォースインディアはこの危機を2018年の分配金の前払い支給で乗り切ろうとしましたが、ウィリアムズの反対によってそれは阻止されました。 分配金の前払いは全チームの同意が必要であって、1チームでも反対があればそれは実行されません。
この数年、そして今シーズンとフォースインディアとウィリアムズは直近のライバルであります。最もチーム力が接近しているチーム同士であって、ライバル意識が高いのは分かるのですが、事はこういった非常事態に差し迫っているのですが、それでもライバルには手を差し延ばさないという冷酷とも取れる行動をウィリアムズは選択しました。副代表のクレア・ウィリアムズは父フランクウィリアムズに相談をして、この行動・選択をしたのかまでは不明ではありますが、成績が低迷してチームが解散になっていったというわけではなく、チーム予算の高騰が招いている要因で好成績のチームであっても、F1から立ち去らねばならないという所にまで、各チームの財政事情は窮しています。
この問題は90年代後半の自動車業界再編に伴って、自動車メーカーが自チームを立ち上げてF1に参入し始めてきた頃まで遡らなければなりません。現在でもメルセデス・ルノーが自チームで参戦しています。メーカー資本ですから、資金力は独立系チームとは比較にはなりません。
独立系チームは数分の1の資金力で戦わなければならず、このような問題に至っています。
そして2007年にF1のオーナーがCVCキャピタルズに変更になったことがさらに拍車を掛けました。開催権料とTV放映権料の高騰を招き、TV放送が有料化されていき、スポンサーが参入をためらうようにもなりました。
スポンサー減少とコストの高騰という2重の苦しみに悩まされ、好成績のチームであっても容易にスポンサーの獲得は難しい時代になっています。
マクラーレンもボーダフォンが2013年限りで去ってから、タイトルスポンサーはおろか、ビッグスポンサーの獲得に非常に苦労をしています。今シーズンのマクラーレンのマシンにはあまりスポンサーロゴは貼られていません。マクラーレンはまだオーナーがしっかりとしているのでチームは存続出来ていますが、オーナーのマンスール・オジェが株式を手放した場合、チームの経営基盤は非常に不安定になり、チーム存続の危機に晒されてしまいます。
予算制限などのルール改訂も2021年以降にならないと効力を発揮しません。
現行のコンコルド協定の実効力は2020年の終わりまでであります。
いま、このコンコルド協定は過去の負の遺産になっています。