

シューマッハーが7度目のタイトルを獲得した2004年シーズン以来の14年ぶりの開幕2連勝を飾ったフェラーリですが、運が大きくフェラーリに味方をした内容の2連勝です。2004年は他を圧倒する勝ちっぷりでありました。2004年の開幕戦はフェラーリがシューマッハー&バリチェロの1-2フィニッシュ。当時はNA3000ccの時代でありました。甲高いエンジンサウンドを奏でてアルバートパークサーキットを確実に毎ラップ周回を重ねていったのを今でも鮮烈に脳裏に焼き付いています。
2004年はファンジオスタンドで観戦していたのですが、あれからもう14年も経過したのか、としみじみ思うわけですが、今年の2018年シーズンのフェラーリの勝ちっぷりは運が大きく作用したり、薄氷を踏むような勝ち方であって、決して2004年とは比較にならない2連勝であります。
しかし、勝利であることは紛れもない事実なのですが、ベッテルが2位のハミルトンに対して17ポイントのリードをしている状況です。今週末は中国GPでありますが、観戦ポイントは2つあって、フェラーリ対メルセデスとトロロッソ・ホンダの躍進がどれほどのものなのかを、この上海(中国GP)で見極めたいと思います。この上海でもバーレーンと同様の走りをすればトロロッソ・ホンダの実力は本物でしょう。
トロロッソ・ホンダのドライバー2人はF1ではまだ実質1年目のドライバーであって、他チームと見比べると、やや経験不足であるのと同時にマシンのポテンシャルを十分に発揮できるのか?という点にまだまだ不安が残ります。
上海の長いストレートでトロロッソ・ホンダが他のマシンと比較して最高速度がどう違うのか、について注目してみたいのですが、ドラッグを減らせばストレートスピードは伸びるので、最高速度とラップライムのバランスですね、注目するのは。もちろんレッドブルもホンダパワーユニットの熟成度を評価してくるでしょうし、タグホイヤー(ルノー)とは今シーズンまでの契約になっている訳ですが、メルセデスもしくはフェラーリのパワーユニットを搭載することは政治的に難しく、ルノーパワーユニットと同等程度のパフォーマンスを発揮すれば、レッドブルとホンダの合流はかなりの確率があります。レッドブルもカスタマー契約では自分達のリクエストがあまり受け入れてもらえず、それがマシン設計の足枷せになっている現状に苛立っている訳でありますが、もし同等のパワーであってもマシンとのコラボレーション度を高められれば、シャシー性能や空力性能をまだまだ引き出すことは可能で、現状のメルセデスとフェラーリとの差をなくすどころか、逆にレッドブルがリードすることになるかもしれません。
それをレッドブルは目論んでいる訳ですが、現状のルノーパワーユニット対フェラーリパワーユニットの差と、ルノーパワーユニット対メルセデスパワーユニットの差はどれほどのものなのでしょうか。
ルノーパワーユニットとフェラーリパワーユニットの差は雑誌媒体などで違いはあるのですが、要約すると30~40馬力程度ということになっています。そしてルノーパワーユニットとメルセデスパワーユニットの差は40~50馬力程度ということになっています。いずれも想像(推測)の域を出ないのですが、馬力だけで速くは走れず、ドライバビリティや低重心、燃費なども要因として関わってきます。
2019年に向けて、レッドブル・ホンダ誕生の必須条件はシーズン序盤(遅くともシーズン序盤)にルノーパワーユニットとほぼ同等ではないかと、関係者に思わせるぐらいの結果を残すことです。速さだけではなく、信頼性ももちろん重要であります。
開幕2戦を運が味方をしてくれたとはいえ、勝利したフェラーリ・ベッテル。メルセデスの猛追が予想されるのですが、フェラーリは次の玉をもっているのでしょうか?パワーユニットでは両者はほぼ同等になったのでは?と云われ始めています。その証拠がザウバー・エリクソンの入賞です。下馬評では最下位のチームではないかと目されていたのですが、バーレーンでは9位入賞を果たしました。
2014年からパワーユニットに偏重したシーズンを見てきたわけですが、久々に今シーズンはトータルパッケージングの戦いになりそうです。エンジン、シャシー、空力、ドライバーのトータルパッケージング。
シャシー、空力、ドライバーに優れているレッドブルですが、唯一足りないのがエンジンであります。そのエンジンが来年はホンダにスイッチするかもしれない。それが現実味を増してきています。
日本人ドライバー不在がしばらく続いている訳ですが、来年、ホンダが2チーム(あるいは3チーム)供給になれば、F1デビュー間近の日本人ドライバーが数人、スタンバイしています。
2019年に向けて面白い状況になってきている訳ですが、今シーズン、フェラーリとメルセデスは熾烈なチャンピオン・タイトル争いをしてくれそうですね。